以前この記事で選定したMOSFETではドローンが飛びませんでした(「私のドローンはなぜ飛ばないのか?」の記事を参照).
その後,この記事でモータ出力が小さかったのは配線抵抗の問題だったということをまとめました.(MOSFETの選定ミスは一番大きな原因ではなさそうだったということが判明しました.)
ただ,MOSFETに関しては選定し直したいな〜という気持ちがあります.理由は以下です.
- 軽いSMDの部品を使いたい.
- もっとRds(on)抵抗が小さなMOSFETがありそう.
ところで,ドローン自作の際のMOSFETやその他パーツ選定に関してすごくまとめられたよい記事を見つけました.そこで,本記事では,このinstructable circuitsさんの記事を参考に,mosfetの選定を再度行います.
instructable circuitsさんの記事の考察
まずは,MOSFET選定に際して大事なポイントです.簡潔にまとめているので,詳しくは原文をご参照ください.
- Idは最大で3A程度流せる必要がある.
- Vgsのしきい値は1V以下である必要がある.VgsとIdの関係は要チェック.
- ドレイン・ソース間オン抵抗Rds(on)は0.032Ω以下であるべきで,小さければ小さい方が望ましい.
instructable circuitsさんではドローンに使えるmosfetをいろいろ紹介してくれています.ご本人はSQ2310ESを選んだようで少しオーバースペックだったかもだけど出力は心配ないといったことをおっしゃっています.
Name // Max Ids (A) // Vgs thr (min-max) (V) // Rds(on) (Vgs = 3V, T = 25C) (mOhm)
https://www.instructables.com/id/Arduino-micro-Quadcopter/
・SI2302DS // 2.2 – 2.8 // 0.65 – ??? // 80
・SI2300DS // 2.5 – 3.0 // 0.6 – 1.5 // 60
・PMV31XN // 3.75 – 5.9 // ??? – 1.8 // 35
・CJ2302 // 2.1 // 0.65-1.2 // 40
・CJ2304 // 3.3 // 1-2.2 // 400???
・AO3400A // 5.9 // 0.65 – 1.45 // 22
・IRLML2502 // 3.4 – 4.2 // 0.6 – 1.2 // 35
・SI2314 // 5 // 0.6 – 1.1 // 50
・SI2312CDS // 4 – 5 // 0.45 – 1 // 28
・SQ2310ES // 3.5 – 6 // 0.4 – 1 // 32
・IRLML0030TRPbF // 4.3-5.3 // 1.3-2.3 // 150
ちなみに,instructable circuitsさんでは,電流の逆流を防ぐ回路をPMOSFETで作るというのもこの記事を参考に紹介しているので,これも重要そうだなと思いました.
私も,この記事のドローンと同じくらいのドローンを製作しているので,SQ2310ESを試しに使ってみようと思っています.
以前紹介していなかったブラシモータドローン
「私のドローンはなぜ飛ばないのか?」の記事で紹介していなかったブラシモータドローンを見つけたので,軽くまとめておきます.
FlyBrix
ブラシモータ + LEGOでドローンを飛ばしているFlyBrixというプロジェクトがあって,この方々も回路を公開しています.FlyBrix Schematicで検索したら回路図が出てきました.
それにしても,LEGOでドローン作って飛ばしてみるというのは私もやってみたかったのですが,随分前に先を越されていました(T_T) ちなみにレゴで四足歩行ロボットは私も作っています!
使っているMOSFETは,PMXB40UNEというものでした.
ESPcopter
このドローンめっちゃかっこいいです.Metehan Emlikというトルコの Ozyegin 大学の学生が作ったドローンのようです.esp8266をベースとしたドローンのようで,optical flowセンサで測距して高度2mを保てるらしいです.
ちなみに,esp32とesp8266の違いは以下です.
大きな違いはESP32シリーズは、Wi-Fi/Bluetoothの両方に対応しているのに対し、ESP8266シリーズはWi-Fiのみにしか対応していません。
https://spiceman.jp/esp32-recommendation/
Crazy file 2.1
このドローンもありがたいことに,回路図を公開してくれていました.CJ2302というMOSFETを使っていますね.「מפרט טכני」がデータシートです.
世の中のドローンのスペックのまとめ
それぞれのプロジェクトで別のMOSFETを使っているので,どのMOSFETを選んでもそこまで大差はないんだろうな(たぶん回路構成が問題なければ飛ぶんだろうな)…とは正直思っているのですが,せっかくいろいろ調べたので世の中の飛んでるドローンで使っているMOSFETを再度まとめておきます.
ついでなので,スペックも再度載せておきます.
ドローン名 | MOSFET | 機体サイズ | 重量 | モータ | プロペラ | バッテリ |
DJI Tello | PMPB11EN | 98 x 92.5 x 41mm | 80g | 8520 | 77mm | 3.8V 1.1Ah |
HS220 | – | 250 x 250 x 40mm | 80g | 8520 | 60mm | 3.7V 750mAh |
STEVAL-DRONE01 | STL6N3LLH6 | – | 70g | 8520 | 65mm | 3.7V 600mAh 30C |
X1 FPV | – | 120 x 120mm | 70g | – | – | 600 mAh |
HUBSAN X4 | – | 83 x 84 x 33mm | 51g | 820 | – | 3.7V 380mAh |
ELECTRONOOBS | SI2302 | 140 x 140mm | 61g | 7mm | 3枚羽 | 3.7V 400mAh |
Luxon | SI2312 | 85 x 85mm | 23g | – | 31mm | 3.7V 150mAh 30C |
quadrupter | IRFML8244 | 90 x 90 x 25mm | 28g | 7mm | – | – |
魔法の大鍋さん | – | – | 34.3g〜 | – | 55mm | 1s 240mAh or 320mAh |
もう疲さん | – | – | 48g | – | – | – |
FlyBrix | PMXB40UN | – | – | – | – | 3.7V |
ESPcopter | – | 90 x 90mm | 32g | – | – | 260mAh |
Crazy file 2.1 | CJ2302 | 92 x 92 x 29mm | 27g | 716 | 45mm | 3.7V 240mAh 15C 7.1g |
※注記
- プロペラは直径を表しています.
- 機体サイズはモータ間なのか,プロペラも含めてなのかで異なるので正確に比較できているか怪しい.
- 重量はバッテリを含めているかどうかで異なるので正確に比較できているか怪しい.
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